ショッピングモールのセンターコート

アメリカを旅して感動したのが、小さな町にもひとつはショッピングモールがあり、そこに町中のみんなが集まっている様子を見たときです。そのモールには中心(例えばセンターコート等)があって、そこに人が集まってきます。特に老人はモールが用意したベンチに腰をかけ、ずっとおしゃべりに講じていました。お金をあまり落とさないので、良い客でないかもしれませんが、人が集まるということはそれだけで財産です。

近所にあれよあれよと2つのショッピングモールが出来て数ヶ月。いずれも専門店街が主役で、核店舗は脇役に徹しているショッピングモールの典型的な形態です。最寄り駅は乗降車数が少なく、モール自体の魅力で集客しなければならない立地です。開業当初の賑わいは落ち着き、平日ともなると閑古鳥が鳴くような状態ですらあるようです。

アメリカのモールと比べると落ち着いた中心がないというのが感想です。もし「センターコートはどこですか」と尋ねても、ひとつに絞ることが出来ないでしょう。イベントが行われていましたが、モールのはずれの屋外で催されていました。中心がないということは、来客は分散し、閑散とした風景が強く印象づけらます。

ショッピングモールの運営側にもいろんな思惑があるでしょう。ほとんどの利益は高級品店や化粧品店でまかなえるというのであれば、お金を落とさない人達は不要でしょう。若い世代のみにアピールすれば良いのだというのであれば、のんびりする空間は不要でしょう。でも立地条件を考えると、多くの人に集まってもらってこそ利益が上がるタイプだと思うのです。

また今回「[ショッピングモールの掟]横を向くパワーセンター」で取り上げたパワーセンターのように、ひとつひとつの店舗に強力な集客力があるわけでもありません。いくつかの強力な店舗が集客力となって、モールに客を招き入れたら、出来るだけ多くの店舗を巡ってもらい、出来るだけ長い時間滞在してもらう必要があるでしょう。せめて老後を楽しむ世代にもアピールできれば、平日の閑古鳥も結構解消されるでしょうし、納得してもらえれば、結構お金も落としてくれるとおもうのです。その世代をあまり見かけなかったのは、きっとアピールできていないのでしょう。

[ショッピングモールの掟]アメリカのショッピングモールを歩いてみれば」では、そんな思いを書いています。