わかりやすい指標

今年4月に小中学校で行われた全国テストの結果が発表されました。「1960年代の学力テストでは、都道府県別の結果に開きが生じ、自治体間の競争が過熱する一因となった」とのことで、それ以降ひさびさの全国テストだとのことです。教育の分析のための貴重な資料として活用されることでしょう。

結果を知ったからといって、分析する力がなければ、何もわかりません。素人はあまり口を挟まないほうがよいでしょう。良い教育を実現するための研究に使われればよいのです。

結果を知らせるウェブサイトでは、いろんな指標を示してくれています。その中で「各都道府県(公立)の状況については、平均正答率を見ると、ほとんどの都道府県が平均正答率の±5%の範囲内にあり、ばらつきが小さい。」と、自治体間の競争を刺激しない様なコメントも添えられています。しかしニュースでは何か伝えなければなりませんし、わたしたちも何か知りたい。そういう思いが一致して選ばれた指標が都道府県別正答率だったわけです。

大して差がなくても順に並べられてみると、下位の府県はワースト3などと言われて自信をなくしてしまいます。

下位の府県はがんばりますといっていますが、もともとばらつきは小さいと言われているのですからあまり意味がありません。代わりに他の都道府県がワースト3に入れ替わるだけです。

そんなことより、学校間の学力差、学校内の学力差の方が着目すべき点だと思うのですが。わかりやすい指標も考え物です。