第一種住居地域

分譲マンションの折込チラシの「緑 あ ふ れ る 第 一 種 住 居 地 域」の文字に目が止まりました。なんだかすばらしい立地条件の予感です。このキャッチコピーを「緑 あ ふ れ る」「第一種」「住居地域」に分けて考えてみました。

まずは「住居地域」です。正確には第一種と一体の用語ですが、それは後ほど考えます。都市計画法に定められる12の用途地域は主に住居系、商業系、工業系の3種類に分けられますが、このマンションは住居系に立地するということ。商業系でも工業系でもマンションは立地できますので、住居系に立地するというアピールはそれだけ静かな住環境であることです。これは納得です。

[流れのヒントの関連ページ]
[格子状の道] 突然変異の赤いエリア
大規模な工場の跡地が高層マンションを核とした住居系のまちに変貌することを語っています。

次に「緑 あ ふ れ る」ですが、これは第一種住居地域にかかる修飾語としてはふさわしくありません。「緑」と「第一種住居地域」とは無関係です。隣接地に公園があるのなら、将来も変わらないものですが、第一種住居地域にある緑は居住者の意向により変わってしまいます。法規制を持ち出すのなら、地区計画や緑化協定などが定められていることをアピールすべきところです。ですから「緑 あ ふ れ る」というのはこのマンションに緑をふんだんに配置したと解釈するのが妥当だと思うのです。

「第一種」は「緑 あ ふ れ る」を受けて、すばらしいという印象を増幅させているようです。「第一種」「第二種」と続く中では確かに1番です。

都市計画法に定められた住居系の用途地域は下記にあげたとおり7種類。

第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域

最上段がもっとも建築の規制が厳しく良好な居住環境が実現します。下に行くほど緩やかになります。こうしてみると第一種住居地域というのは、そんなに厳しくないことがわかります。 高層マンションが林立しているような「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」よりも緩やかなのです。

結局「第一種」というのは、「低層住居専用」「中高層住居専用」に続く「住居」のうち、規制の厳しい方という程度の意味しかありません。

[参考サイト]
用途地域 - Wikipedia