災害リスクを土地利用計画に反映する
避難計画だけでの限界
[コンテンツについて] 「言い伝え」という設計思想で「津波てんでんこ」で、多くの生徒が助かったと取り上げました。
- [参考サイト]
- 津波てんでんこ - Wikipedia
言い伝えを避難計画に取り入れることは、苦労があったようで、受け入れなかった自治体も多かったようです。
しかしながら受け入れられた自治体においても、反省はあったようです。
自宅にいた生徒が、裏のおばあさんを呼びに行き、被害にあったというのです。
厳しい言い方をすれば、疑問を呈しているこのサイトの主の通り、「津波てんでんこ」を徹底していれば、生徒だけでも助かったのではないのかともいえます。
ただし擁護すれば、避難弱者を切り捨てるような避難計画は、住民の理解が得られなかったという事情があったのではないかと思うのです(私の推測)。
避難計画上この矛盾は埋まらず、「避難弱者は助け合いで乗り切る」という作文で結論付けていたのかもしれません。本当は、避難弱者は助からないために移住を促進するような総合的な施策が理想であったのだと思うのです。
リスクは土地価格に反映しづらい
土地の価格は、
- 土地を利用するための造成費用(地盤の悪いところほど必要)
- 建築制限の中で、建築できる床面積
- 住宅以外ならテナントとしての賃貸料
で、概ね決まってくるでしょう。防災リスクはあまり影響がない感じです。
そんなわけで、突然液状化現象が起り、驚いたりするわけです。
- [参考サイト]
- 久喜市・南栗橋での液状化… きんもくせい/ウェブリブログ
知っている人(地元の人は知っている)が見れば、一目瞭然なのでしょうが、知識がなければ、市役所で配布されている津波被害とか浸水被害とか、避難経路の図面を見たところでどのくらいのリスクなのか想像がつかないこともあるかもしれません。
リスクが見える土地利用計画図
日本の市街地(都市計画区域内で建築が認められているところでは)どこでも安全であることが前提なのです。
- 宅地造成をする場合には安全な技術基準を満たしており
- 迅速に避難路となる道路に接する土地のみ家を建てることができ
- 道路を通じて、水道や雨水・汚水排除などを行い衛生的な生活が送られる
という具合です。
よって都市計画図には用途や形態等の建築制限が示されるだけで、リスクが見えにくいのが難点です。
まずは都市計画図に、防災リスクを一元的に表示することが必要になってくるでしょう。
財産の価値を下げることを意味しますから、反発はあるでしょう。しかしリスクを隠しながら安全を保障すると言い切ることの危険性は、原子力発電所の安全神話で理解したところです。
「津波浸水区域に住む場合は自力で高台に逃げる力がないと助からない」と、はっきり示すことが必要なのでしょう。そうしなければ、みんなが死んでしまうということを改めて認識したのです。
- [流れのヒントの関連ページ]
- [格子状の道] 交通計画図で流れを誘導
- こちらでは、都市計画図に公共交通の表示がないことを指摘していました。